- AGVのヘルメットは種類が多くて、どのモデルを選べばいいかわからない
- K1 SとK3、K6 Sで、ヘルメットの素材や装備の何が違うのか知りたい
- イタリアブランドのヘルメットが日本人の頭の形に合うのか不安
「AGV」は1947年にイタリアで創業したバイク用ヘルメットを主力とするメーカーで、バレンティーノ・ロッシをはじめとするMotoGPライダーに支持されてきたレース由来のヘルメットブランドです。風洞実験で煮詰めた空力設計と、安全認証の要件を上回る性能を目指すものづくりに定評があります。
この記事では、AGVの特徴や独自テクノロジーをわかりやすく解説し、現行のバイク用ヘルメットを全モデル比較します。走り方別のおすすめモデルも紹介しますので、AGVのヘルメットが気になっている人はぜひチェックしてください。
AGVとはレース由来の安全技術に特化したバイク用ヘルメットブランド

AGVとは、1947年にイタリアで創業したバイク用ヘルメットブランドで、MotoGPをはじめとするレースで培った安全技術を市販モデルに落とし込んでいるのが特徴です。AGVのヘルメットはレースの現場で試された設計をベースにしており、サーキットを走らないライダーでもレース由来の技術を公道で使えます。
ラインナップは、サーキット向けのレーシングモデルと公道向けのフルフェイス(頭部とあごを一体で覆うヘルメット)を中心に、ツーリング向けのシステムヘルメット(あご部分を跳ね上げられるヘルメット)やアドベンチャーモデルまで幅広い構成です。日本では株式会社ユーロギアが国内正規代理店となり、AGVのヘルメットを取り扱っています。
AGVのブランドコンセプト
AGVは「より安全に、より速く」という信念を掲げ、レースへの情熱から生まれた安全性の追求をヘルメットづくりの軸にしています。安全規格への合格をゴールにせず、認証要件を上回る性能を目指す独自の設計プロトコル「Extreme Safety」も、AGVの姿勢を表す取り組みです。
AGVはMotoGPで培った空力設計を、通勤や街乗り向けのヘルメットにも展開しています。サーキットに行かないライダーでもレース由来の技術を日常の走りで使える点が、AGVのヘルメットを選ぶ理由のひとつです。
AGVの歴史・創業背景
AGVの歴史は、1947年に創業者のジーノ・アミザーノがイタリアで会社を立ち上げたことから始まりました。最初の製品は木型で成形したレザー製のプロテクターで、のちにAGVはヨーロッパ初のフルフェイスヘルメット「X3000」を開発しています。
創業から75年以上が経った現在も、AGVはMotoGPの現場で安全性の基準を引き上げ続けています。100%カーボンファイバーのシェルや風洞実験による空力設計といったAGVのヘルメットの技術は、レースでの実戦を重ねて磨かれてきたものです。
AGVの特徴・強み(国内正規品とアジアンフィット)
AGVの国内正規品は、日本人の頭の形に合わせたアジアンフィットを採用しています。商品名には「JIST Asian Fit」と表記され、海外仕様とは帽体や内装の形が異なるため、日本人がかぶったときのフィット感を重視するならAGVのヘルメットは国内正規品から選ぶのが確実です。
転倒や落下による破損、経年劣化は保証の対象外となり、修理の依頼には購入時のレシートまたは購入証明書が求められます。正規販売店は公式サイトの取扱店検索で探せるため、AGVのヘルメットは店頭で試着してサイズを確かめてから購入するのがおすすめです。
AGVの機能とテクノロジー

AGVのヘルメットには、レースで培った安全設計に加えて、視界の広さや高速走行時の快適さを高める独自テクノロジーが搭載されています。安全面では認証要件を上回る設計プロトコルやシェル形状、快適面ではワイドな視野や空力設計、日本人向けのフィットが柱です。
AGVのバイク用ヘルメットに搭載されている主なテクノロジーは以下の6つです。
- Extreme Safety|認証基準を上回る独自の安全設計プロトコル
- Ultravision|水平190°の視野を確保するワイドバイザー
- 鎖骨保護プロファイル|レースから生まれたシェル形状
- マイクロオープニングシステム|バイザーを数ミリ開けて換気
- ダイナミックウェイト設計|高速走行時の首の負担を減らす空力フォルム
- JIST Asian Fit(アジアンフィット)|日本人の頭の形に合わせた国内正規モデル
Extreme Safety|認証基準を上回る独自の安全設計プロトコル
AGVの「Extreme Safety」は、ECE22.06(欧州を中心に採用されているヘルメットの安全規格)などの認証が求める要件を上回るヘルメットをつくるための独自の設計プロトコルです。AGVは規格の合格ラインを最低条件と位置づけ、合格ラインよりも高い安全性を開発の目標にしています。
安全規格のマークだけでは見えない上乗せ分を、AGVが具体的な数値で示している点はライダーにとって大きなメリットです。ヘルメットの安全性能を数字で比べてから選びたいライダーに、Extreme Safetyはおすすめの判断材料になります。
Ultravision|水平190°の視野を確保するワイドバイザー
AGVの「Ultravision」は、水平最大190°、垂直85°の視野を確保するワイドなバイザー設計です。フルフェイスのヘルメットは視界が狭くなりやすい装備ですが、Ultravisionは首を大きく振らなくても左右や上下の状況をつかみやすい広さを持たせています。
曇り止めには、バイザーの内側に装着する曇り止め用インナーレンズの最新版「Max Vision Pinlock 120」を組み合わせ、雨の日や冬場の走行でも視界を保ちやすくしています。交差点での安全確認や車線変更が多い公道ライダーにとって、AGVのUltravisionは日常的に役立つテクノロジーです。
鎖骨保護プロファイル|レースから生まれたシェル形状
鎖骨保護プロファイルは、転倒時にヘルメットが鎖骨に当たるリスクを抑えるため、AGVがレースの世界で考案したシェル形状です。ヘルメットの役割は頭部を守ることですが、転倒の衝撃ではヘルメットの縁が肩まわりにぶつかることもあり、AGVはシェルの形で対策しています。
AGVの鎖骨保護プロファイルはレース発祥のテクノロジーで、現在はサーキット向けと公道向けの両方で、多くの現行ヘルメットに共通して採用されています。見た目では気づきにくい部分まで設計に反映されているため、安全面の細部を重視するライダーにおすすめの技術です。
マイクロオープニングシステム|バイザーを数ミリ開けて換気
AGVの「マイクロオープニングシステム」は、バイザーを数ミリだけ開けた状態でロックできる機能です。バイザーをわずかに開けて固定できるため、走行中でも風圧を受けすぎずにヘルメット内へ空気を取り込めます。
信号待ちや渋滞でバイザーが曇りやすい場面でも、大きく開けずに曇りを抑えられるのがメリットです。夏場の街乗りやバイザーの曇りに悩んでいるライダーにとって、AGVのマイクロオープニングシステムは使う機会の多い機能といえます。
ダイナミックウェイト設計|高速走行時の首の負担を減らす空力フォルム
ダイナミックウェイト設計は、走行中にヘルメットに発生する揚力(Z-リフト)を利用して、首にかかるヘルメットの重さを打ち消すAGVの考え方です。スペック表の重量は静止時の値で、AGVは走行中に首が感じる重さ(動的重量)を減らすことを重視しています。
高速道路を長時間走るツーリングでは、ヘルメットが浮き上がったり後ろに引かれたりする感覚が首の疲れにつながります。静止時の重量に加えて走行中の軽さまで考えたいライダーには、AGVのダイナミックウェイト設計がおすすめです。
JIST Asian Fit(アジアンフィット)|日本人の頭の形に合わせた国内正規モデル
JIST Asian Fitは、AGVの国内正規品に採用されている日本人向けのフィット仕様です。日本人の頭の形に合わせた帽体と内装を組み合わせており、海外仕様のAGVとはヘルメットをかぶったときの当たり方が異なります。
同じサイズ表記でも頬や頭頂部の当たり方には個人差があるため、パッドで微調整できる点はAGVのヘルメットの強みです。海外ブランドのヘルメットできつさや隙間を感じた経験があるライダーには、アジアンフィットの国内正規品から試着することをおすすめします。
AGVのヘルメット全モデルの種類と違いを比較
AGVのヘルメットのラインナップは、サーキット向けのレーシングモデルと公道向けのスポーツモデル、ツーリング向けのシステムヘルメット、ダートも走れるアドベンチャーモデルという構成です。国内で正規販売されている現行モデルを、グレードや位置づけの高い順に紹介します。
比較表でタイプやシェル素材、重量、規格の違いを一覧にしたうえで、各モデルの詳細とおすすめのライダー像を解説します。表の重量はいずれも最小シェルサイズの公称値で、シェルサイズが大きいほどヘルメットは重くなる点に注意が必要です。
| モデル名 | タイプ | シェル素材 | 重量 | 規格・公認 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| PISTA GP RR | フルフェイス(レーシング) | 100%カーボンファイバー | 1,500g | ECE22.06/SG/FIM公認/MFJ公認 | MotoGP由来のハイドレーション・PROスポイラー |
| K6 S | フルフェイス(スポーツ/ロード) | カーボン-アラミドファイバー | 1,385g | ECE22.06/SG | 軽量・防水透湿の内装 |
| TOURMODULAR | システム(フリップアップ) | カーボン-アラミド-ファイバーグラス | 1,720g | ECE22.06/P/J/SG | インナーサンバイザー・内装16通り |
| AX9 | フルフェイス(アドベンチャー) | カーボン-アラミド-ファイバーグラス | – | SG | ピーク着脱で4スタイル |
| K3 | フルフェイス(スポーツ/ストリート) | サーモプラスチック | 1,560g | ECE22.06/SG | インナーサンバイザー・内装25通り |
| K1 S | フルフェイス(スポーツ/ストリート) | ABS(サーモプラスチック) | – | ECE22.06/SG | エアロスポイラー・日本別注5色 |
PISTA GP RR

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | PISTA GP RR |
| タイプ | フルフェイス(レーシング) |
| シェル素材 | 100%カーボンファイバー |
| 規格・公認 | ECE22.06/SG/FIM公認/MFJ公認 |
| フィット | アジアンフィット |
「PISTA GP RR」は、MotoGPライダーが着用するものとまったく同じ仕様で市販されている、AGVの最上位レーシングヘルメットです。シェルは100%カーボンファイバー製で、最小シェルサイズの重量は1,500gに抑えられています。
日本仕様はSG規格に加えてFIM公認とMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)公認を取得しており、国内のサーキット走行やレースにも使えます。一方で装備は高速域でのスポーツ走行を前提にしており、街乗り中心のライダーには機能が過剰です。
サーキット走行会への参加やレース参戦を考えているライダーや、MotoGPと同じ仕様のヘルメットで走りたいライダーに、AGVの「PISTA GP RR」はおすすめのレーシングモデルです。
K6 S

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | K6 S |
| タイプ | フルフェイス(スポーツ/ロード) |
| シェル素材 | カーボン-アラミドファイバー |
| 規格・公認 | ECE22.06/SG |
| フィット | アジアンフィット |
「K6 S」は、MotoGPの技術を投入しながら、シティライドやスポーツツーリング、スポーツ走行まで幅広いライディングスタイルに対応させたAGVのプレミアムロードヘルメットとして開発されました。サーキット専用の「PISTA GP RR」に対して、公道での使いやすさを重視した設計になっています。
バイザーは最大4.3mm厚でMax Vision Pinlock 120を採用し、130km/hで動的重量がゼロになるよう設計されています。内装は外側に防水素材、内側に汗を素早く吸収する透湿性の生地を使っており、長時間かぶっても快適さを保ちやすい構成です。
インナーサンバイザーは備えていないため、日差しへの対策はサングラスやスモークバイザーで補う必要があります。軽さと安全性能を最優先したい公道ライダーや、1日に長い距離を走るツーリングでも首が疲れにくいフルフェイスを探しているライダーにとって、「K6 S」はおすすめの選択肢と言えるでしょう。
TOURMODULAR

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | TOURMODULAR |
| タイプ | システム(フリップアップ) |
| シェル素材 | カーボン-アラミド-ファイバーグラス |
| 規格・公認 | ECE22.06/P/J/SG |
| フィット | アジアンフィット |
「TOURMODULAR」は、フルフェイスと同等の安全性をシステムヘルメットで実現することを目指して開発された、AGVのツーリング向けモデルです。AGVの公式では、ECE22.06で認定された初めてのフリップアップ(あご部分を跳ね上げる構造)ヘルメットと紹介されています。
工具不要で着脱できるインナーサンバイザーを内蔵し、ベンチレーションは合計2,253mm²の通気面を確保しています。内装は16通りの組み合わせからフィットを選べるほか、AGV INSYDE(別売のインカムシステム)を装着でき、仲間と会話しながらツーリングを楽しめます。
重量はAGVのフルフェイスより重く、サーキットでのスポーツ走行には向きません。休憩のたびにヘルメットを脱がずに会話や水分補給をしたいライダーや、天候が変わりやすいロングツーリングに出るライダーには、「TOURMODULAR」がおすすめです。
AX9

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | AX9 |
| タイプ | フルフェイス(アドベンチャー) |
| シェル素材 | カーボン-アラミド-ファイバーグラス |
| 規格・公認 | SG |
| フィット | – |
「AX9」は、ピーク(額の上に付くひさし)とバイザーを着脱するだけで4つのスタイルに変えられる、AGVのアドベンチャー向けヘルメットです。ピークとバイザーを付けたアドベンチャースタイルを基本に、ピークを外した公道向けの形や、バイザーを外してゴーグルを合わせるオフロード向けの形に組み替えられます。
角度を調節できるピークや汎用インカムへの対応など、林道ツーリングで使いやすい装備もAX9の特徴です。国内の販売カラーはMONO GLOSSY CARBONの1色のみで、デザインで選びたいライダーにとっては選択肢が少ない点が弱みです。
舗装路とダートの両方を走るアドベンチャーバイク乗りや、林道ツーリングを楽しみたいライダーには、ピークとバイザーの組み替えで走り方を切り替えられるAGVの「AX9」をおすすめします。
- アドベンチャー系のヘルメットのなかでも驚くほど軽く、首への負担が小さいので長距離ツーリングが楽
- ヒサシが付いているおかげか、長距離ツーリング中でも虫がシールドに当たりにくいと感じた
- ヒサシがあるぶん高速道路では風を受けやすく、頭が振られる感覚が気になる場面もあった
K3

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | K3 |
| タイプ | フルフェイス(スポーツ/ストリート) |
| シェル素材 | サーモプラスチック |
| 規格・公認 | ECE22.06/SG |
| フィット | アジアンフィット |
「K3」は、AGVを象徴するフルフェイスとして開発された、インナーサンバイザー付きのストリートヘルメットです。シェルは耐久性の高いサーモプラスチック(熱可塑性樹脂)製で、アウターとインナーを3サイズずつ用意し、最小シェルサイズの重量は1,560gです。
5種類のチークパッドで25通りのフィットに調整でき、日本仕様では後頭部のスポイラーが標準装備です。130km/hで動的重量ゼロとなる設計ですが、重量はカーボン系シェルの「K6 S」より重いため、軽さを最優先するなら「K6 S」が候補になります。
通勤や街乗りからツーリングまで1つのヘルメットでこなしたいライダーや、日差しの強い時間帯に走ることが多いライダーに、AGVの「K3」はおすすめのオールラウンドモデルです。
K1 S

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | K1 S |
| タイプ | フルフェイス(スポーツ/ストリート) |
| シェル素材 | ABS(サーモプラスチック) |
| 規格・公認 | ECE22.06/SG |
| フィット | アジアンフィット |
「K1 S」は、MotoGPにインスパイアされた性能を毎日の走りで使えるように設計された、AGVのスタンダードなフルフェイスヘルメットです。通勤からスポーツライディングまでを想定しており、MotoGPで培った空力設計をもとにしたエアロスポイラーで高速走行時の安定性を高めています。
バイザーは5段階で開閉でき、Max Vision Pinlock 70に対応しています。内装の2Dry素材は汗を素早く吸収し、取り外して洗えるため、毎日かぶるヘルメットでも清潔に保ちやすい仕様です。インナーサンバイザーは備えていないため、日差し対策を重視するなら「K3」が候補になります。
国内ではPRISMA SILVERやPROFONDO BLUEなど日本別注の5色に加え、バレンティーノ・ロッシやマルコ・ベッツェッキのレプリカグラフィックも販売されています。初めてAGVのヘルメットを選ぶライダーや、通勤や街乗りで気軽に使えるフルフェイスを探している人、デザインにもこだわりたいライダーにおすすめのモデルです。
まとめ
この記事では、AGVの歴史やブランドの特徴、独自テクノロジーを解説し、国内で正規販売されている現行のヘルメットを全モデル比較しました。AGVはMotoGPで培った安全設計と、広い視野や空力設計といった快適性の工夫を、レーシングモデルから通勤向けのモデルまで幅広く展開しているヘルメットブランドです。
国内正規品はアジアンフィットとSG規格に対応し、購入日から2年間の無料修理保証も受けられます。正規販売店で試着してフィットを確かめてから選ぶのが、失敗しないヘルメット選びの近道です。この記事がAGVのヘルメット選びの参考になれば嬉しいです。

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